建物

【建物表題登記】新築建物

新築 表題登記

金融機関から融資を受けてマイホームを購入すると、担保となる不動産に抵当権が設定されます。

抵当権を設定するためには対象となる土地や建物が登記されている必要があります。

建物の場合は所有権保存登記をする前提として、登録免許税の算出に必要な物件の特定と物理的状況を把握するための表題部を最初に作成しなければなりません。
これが「建物表題登記」といって、建物の所在、種類、構造、床面積、所有者の情報が記載されます

建物表題登記で一番大事なのは所有者の本人確認です。

所有権に関する登記を担当する司法書士は契約の際に同席しますが、土地家屋調査士はハウスメーカーの担当者を介して書類のやりとりをすることが多い上、建物の現地調査も引渡し前に行うのがほとんどですので、所有者と直接会う機会は少ないのではないでしょうか。
表題登記申請にあたり申請人の本人確認が必須となりますが、実務上は電話で本人確認を済ませる場合が多いと感じます。

おそらく一生に一度の夢のマイホームです。
建築主様には、出来れば対面でご挨拶して「新築おめでとうございます!」と伝えたい、明るい未来をお祈りしたい(ついでにHAPPYな気分のお裾分けをいただきたい( *´艸`))と考えるのですが、多忙でなかなか時間が取れないという方が多いのも事実です。

微力ではございますが、建物の登記を通じて、建築主様とご家族の新たな人生の始まりのお手伝いが出来ることは調査士冥利に尽きるというものです。

気になる土地家屋調査士事務所に依頼された場合の報酬額ですが、一般的な住宅で同じ程度の規模だとしても、地域や事務所によって5万~10万くらいまで様々です。


【建物表題登記】未登記建物

建物を購入する際に、自己資金があって金融機関から融資を受ける必要がない人は、そもそも建物の表題登記をしていないことがあります。建物を抵当担保に入れるために所有権保存登記をする必要がないからです。

何年か経ち、たとえば不動産を担保にして融資を受けようとなったとき、初めて表題登記を申請することになります。

未登記 中古建物 表題登記

長年未登記のままだった建物の表題登記において、一番重要なのは所有権です。

登記されていないわけですから、所有権を証明する書類として登記済証(権利証)や登記識別情報はありません。

固定資産税を納付している場合は、固定資産評価証明書を確認します。建物の床面積を実際に測量してみたら評価証明書と相異していることがありますので、その差が役所で把握していない増築によるものなのか、又はそれ以外の理由(錯誤等)なのか、どの箇所で違いが出ているのか調査したうえで、差が大きいときは資産税課で修正してもらえるか協議します。

売買契約書(売渡証明書)や建築時に交付される建築確認済証や完了検査済証も所有権を証明する書類ですが、古くなればなるほど所有者の記憶もあいまいになり見つかりにくくなりがちです。

重要書類は権利証といっしょに保管されていることが多く、建物の権利証はなくても土地が登記されていないことはほぼありませんので、土地の権利証の保管場所を確認してもらって見つかることもあります。いずれにせよ、資料探索では私が家探しをするわけにも参りませんので、所有者様に頑張ってもらうしかない案件です。

増改築 リフォーム 表題部変更登記

【建物表題部変更登記】増改築、附属建物新築など

リフォーム工事をすると表題部変更登記の申請義務が発生することがあります。申請義務が発生する例としては以下のようなものがあります。

①増築工事で階数や床面積が増えた(例;サンルームを増築)
②一部取壊し(減築)で階数や床面積が減った(例;二階建→平屋)
③違う素材の屋根に葺き替えた(例;かわらぶき→ソーラーパネルぶき)
④自宅の一部を「店舗」として改築した(居宅→居宅・店舗))
⑤敷地内の物置や車庫を新築した、または取り壊した、など

単に外壁や内装をリフォームしただけの場合は申請の必要はありませんが、建物の種類(用途)、構造、床面積が変更された場合は工事完了後ひと月以内の登記申請が必要になります。また、敷地を分筆または合筆して、建物の所在地番が変わるときも申請しなければなりません

建物表題部変更登記で重要なのは「増築で床面積が増えた部分の所有権は誰のものか?」ということです。

通常は建物の所有者が増築工事を発注するので問題ないのですが、増改築工事をしたのがかなり昔であったときは、亡くなった親が発注者であることもあります。中古住宅を購入した場合は、前の所有者が増築したということもあるわけです。増改築した時点で変更登記していればいいのですが、登記未了のまま所有者が変わることもあり、古くなるほど当時の設計図面や工事代金の領収書など資料が見つからない可能性も高くなります。

民法242条では「付合(ふごう)」といって、増築した部分が構造上建物として独立性を持たない場合は、独立した所有権の対象とはならないため、他人が費用を出して工事したとしても建物の所有者に帰属すると規定されています。しかし例えば敷地内の物置小屋の建築が他人によるものであった場合は、別個の独立した建物とも考えられるので付合に当たるかは微妙なところです。

一般的な考えでは、土地と敷地内の中古建物を購入した場合は、敷地内の全て建物をひっくるめて買ったという意識になりますが、売買契約書においても対象物件が「敷地内の全ての建物および工作物」のように表示していれば問題は起きないと考えられます。

所有権の調査は、工事から時間が経てば経つほど難しくなり、いざ登記しなければならない状況になってから調べ始めると余計な費用が掛かり増しすることになるので、増改築をしたらすぐ登記申請することが肝心です。

【建物滅失登記】

建物滅失

土地を更地にして売却したり、建物を建て替える際に元の建物を解体したら、建物の滅失登記を申請する義務が発生します。

建物を取り壊したから登記も自動的に消滅するというものではなく、滅失登記を申請しないと登記記録はずっと残ったままになり、その後の土地取引に支障をきたします。

建物が滅失してから一か月以内に申請手続きをしないと、十万円以下の過料に処せられることがあります。

比較的簡単に出来ますので、所有者が自ら申請することもよくある登記です。

尚、登記のない建物の場合は役所へ滅失届をすれば、以降の固定資産税が課税されなくなります。

【建物滅失申出】

土地売却のため、建物を解体して更地にしました。解体した建物の滅失登記をしました。

現地では建物がなくなってスッキリしたのに、法務局で調べてみたらどうやら他にも建物が登記されているらしいことが判明した( ゚Д゚)ということがたまにあります。

原因は、過去に住んでた人の建物が取り壊されてなくなったものの、滅失登記をしなかったことにあります。
物理的に建物がなくなっても、滅失登記を申請して法務局に取り壊したことを報告しない限り、登記簿はなくなりません。登記上は地縛霊のようにいつまでも存在することになります。

何世代もそこに住んでいる家系で、記載されている所有者が祖父母や曾祖父母など血縁者と判るのであれば、相続人から滅失登記を申請して済む話です。
しかし、戸籍を遡っても血縁関係を確認できない赤の他人だった場合はどうしますか?

本来の申請義務者である相続人を探し出して滅失登記を申請してもらうのが筋です。が、苦労して見つけた相続人は今さら協力してくれない可能性もありますし、そもそも相続人さえ見つからない場合もあります。

滅失申出

そんな時は、建物敷地である土地の権利者等が上申書を添付して「滅失申出(もうしで)」を法務局に申請します。

上申書には申出するに至った事情を記載します。
滅失申出は登記官の職権による登記簿の閉鎖を促すものですから、対象建物が確実に存在しないという根拠と「相続人の調査をしたけれど見つからなかった」「相続人は見つけたけど協力は得られなかった」など、解決に向けてそれなりに努力したという事実が必要です。

誰がいつ取り壊したか判明している通常の滅失登記に比べると、役所で戸籍謄本や固定資産課税台帳を確認したり、法務局で閉鎖登記簿を調査したり、近所に相続人が済んでいないか探索する必要があるので格段に手間が掛かる案件です。