境界立会を頼まれた隣接者様へ

○公正・中立な立場とは

土地家屋調査士が境界確認業務の依頼を受託し代理人となると、報酬をお支払い頂く依頼者は「お客様」となります。

境界立会をお願いされた隣接者からすると、「相手方の代理人なんだから、相手の言う通りの境界を立会させられるのでは?!」と身構えてしまうのも当然でしょう。

誤解を解く必要があります。

一般的には、「お客様の望むサービス(商品)を提供し、その対価として報酬を得るのが仕事」です。ところが、こと境界確認業務となると、必ずしも依頼者が望んだ結果とならない場合があります。それは、我々土地家屋調査士が確認する境界が「筆界」だからです。

→「筆界」とは?

筆界は、所有者の意思や合意によって決まるものではなく、もちろん調査士にもその権原はありません。あくまでも「元々あった筆界がどこであるのかを調査し、その事実を確認をして頂く」という立場です。依頼者に一方的に肩入れすることはありませんし、依頼者の方にもその旨を予め納得いただいてから業務受託しますのでご安心ください。

土地家屋調査士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通し、公正かつ誠実にその業務を行うとともに、自らの行動を規律する社会的責任を負います。業務及び行動に関する倫理の規定が制定されておりますので、以下、抜粋してお伝えします。

土地家屋調査士 倫理綱領

土地家屋調査士倫理規定(平成22年10月7日施行)

第1条(使命)土地家屋調査士(以下「調査士」という。)は、不動産の表示に関する登記に必要な調査・測量及び申請手続等並びに筆界特定の手続及び民間紛争解決手続の専門家として、これらの業務を適正に行うことにより、不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを使命とする。
第2条(公正誠実)調査士は、その使命にかんがみ、業務を公正かつ誠実に行う。

第7条(虚偽の調査、測量の禁止)調査士は、その業務に関して虚偽の調査又は測量をしてはならない。

第28条(有利な結果の請け合い等)調査士は、事件について依頼者に有利な結果を請け合い、又は保証してはならない。

第30条(公正を保ち得ない事件)調査士は、業務の公正を保ち得ない事由のある事件については、依頼者にその理由を告げた上で、依頼を拒むことができる。

立会いしたら必ず承認した旨の署名をしなければならないということはありませんし、強制することももちろんございません。あくまでもご納得いただいた上でご署名をいただかないと、後々「あの時は無理やり署名させられた」と問題になりかねません。

土地家屋調査士に虚偽の 調査が認められた場合は、業務の停止などの重い懲戒処分があります。

土地の境界を明確にするよう努めるのが所有者の責務であるならば、それを公正・中立な立場からお手伝いするのが土地家屋調査士の責務です。

〇境界を確認するお隣さんのメリットは?

境界確認 メリット デメリット

メリットその1…費用負担なくお隣との境界が確定する!

境界確認業務は依頼者の都合により行っているものであって、隣接者である貴方の費用負担はありません。境界杭がない場合も、依頼者の負担で設置いたします。

メリットその2…境界争いの火種を消しておく!

お隣さんが相続で代が変わっても、土地を売却して全く知らない人がお隣さんになっても、境界確認図が新所有者に引き継がれることで境界確認済みという事実が残るため、境界紛争の心配がなくなります。
接道していて公道を管理する官公庁と立会した場合は、官公庁でも同じ図面を保管しますので、万が一所有者が紛失した場合でも担当課で確認ができます。

メリットその3…境界杭の復元が簡単になる!

外構工事などで杭がなくなって境界が判らなくなっても、境界確認図があれば迅速な復元が可能です。費用も、境界確認を担当した土地家屋調査士に依頼すれば、他に頼むよりも安価で対応してくれます。

メリットその4… 「境界確認図」の写し(コピー)がただで貰える!

調査士事務所にもよりますが、当事務所では、押印を頂いた方々の承諾があれば、境界確認図の写し(白黒コピー)を立ち合っていただいた隣接者にも配布しております。
境界を確認した一つの根拠となりますので、将来相続や売買で土地の所有者が代わる際に必ずお役に立つものと思います。

デメリットは?

土地家屋調査士キャラクター 地識くん

デメリットはないです!と言いたいところですが、あえて挙げるならば確認した本来の筆界が、貴方が思っていた位置と異なる可能性があることです。
すでにお話したように、筆界とは私人間の意思や合意で決まることはないからです。
が、それは相手にとっても同様ですので、前述したメリットが上回ることは間違いありません。